導電性ゴム -フレキシブル配線材料-

機械耐久性が高く、変形しても金属並みの導電率

ここでご紹介するのは、ゴムとスーパーグロース・カーボンナノチューブ(CNT)の二種類の材料のみから開発された、ゴムの柔軟さを保ちながら高い機械耐久性と電気伝導率(30S/cm)を示し、フレキシブル配線としても使用できる複合材料です。

ゴムや樹脂に導電性を持つ材料を添加する場合、柔らかい性質を保ったまま高い導電性を実現するためには、

  • 一般にゴムよりも硬い、導電性材料の充填量を低く抑える
  • 充填量を減らすために、導電性材料はなるべく細く、長い形状が望ましい
  • 導電性材料を一様に、固まらないように分散させる

などの条件があります。

従来、CNTと樹脂で複合材料を作製する際には、「バンドル」とよばれる、CNTが数本から数十本束になった凝集体を超音波などで一本一本にほぐし、一様 に分散した状態にする処理が行われてきました。しかし、この処理ではCNTが切断されてしまい、その特性が十分に発現されず、導電性が落ちるという問題が あります。

そこで今回、当チームでは特殊な方法を開発し、スーパーグロースCNTの長さをなるべく保ちながらバンドルをほぐすことに成功しました。さらに一度分散したCNT同士の再凝集を抑えながらゴム中に分散させました。

新開発した導電性ゴムに機械耐久性試験を行ったところ、約5000回の繰り返しひずみに耐えるという優れた性能を示しました(図1)。

CNT導電性ゴムの機械耐久性の比較
図1:CNT導電性ゴムの機械耐久性の比較。10%のひずみを繰り返し与えて試験を行った。

また、導電性については、従来のカーボンブラックを用いた導電性ゴムの300倍の導電率(30S/cm)を有します。さらに、繰り返しひずみを与えながら 電気伝導性を測定したところ、他社製CNTを用いた場合に比べてスーパーグロースCNTを用いた導電性ゴムは、電気伝導性の劣化を格段に抑えられることも 分かりました(図2)。

既存の導電性ゴムの体積導電率・機械耐久性と新材料との比較
図2:既存の導電性ゴムの体積導電率・機械耐久性と新材料との比較。新材料はカーボンブラックを用いた市販の導電性ゴム材料の300倍の導電率を示し、機械耐久性も優れる。

一般に高い導電性を有する複合材料では、添加される導電性材料が緻密に連なっており、この場合、母材のゴムの持つ柔らかく変形しやすい特徴は失われ ます。伸び縮みする母材の中に伸び縮みしない材料が張り巡らされているためです。柔軟性の異なる二つの材料の間では、変形に伴って剥離が生じ、複合材料の 機械耐久性は著しく低下します。

一方、長く広がった構造をもつスーパーグロースCNTは、マジックハンドのように、複合材料の中でゴムの変形に合わせてその形を変えることができます。このため、変形しても保たれる高い導電性と機械耐久性を同時に実現することができました。

この特徴を生かし、今後レーザープリンター用帯電ロールや静電除去材だけでなく、フレキシブルデバイスや、強い曲げ伸ばしを受けるフレキシブル配線など、様々な分野において実用化を進めていく予定です。

なお、この研究はNEDO「低炭素社会を実現する革新的カーボンナノチューブ複合材料開発プロジェクト」の一環として行われました。

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